Vol.8

オリジナルTシャツの王様「085-CVT」

オリジナルTシャツのプリント業者なら「プリントスター085-CVT」を知らない人などまずいませんし、一般の人でも名前は知らなくてもクローゼットを開けると1枚くらいこのTシャツが入っているかもしれません。
これは大げさな話ではなく、製造開始以来1億3千万枚(2016年12月時点)売れているというのですから、国民1人に1枚の計算になります。(ちなみに私のクローゼットには5着ありました!)今回はプリントスター085-CVTを製造している会社、トムス株式会社にお邪魔してCVT誕生の秘話やこだわりのポイントなど詳しく伺ってきました。

085-CVT誕生秘話

085-CVTが誕生したのは、1990年代後半ですがその頃の日本で流通していたTシャツのほとんどがアメリカ製でした。厚手の生地でオープンエンド糸で編んだ表面が少し毛羽立ったようなザラ感のあるTシャツで、オネータ、フルーツオブザルーム、ヘインズ、アンビルなどが有名ですが日本人とアメリカ人では体型が違い、ちょうどいいサイズのTシャツを探すのが難しく、比較的日本人向きのサイズ感であるアンビルが爆発的に売れていました。
しかし、アメリカ製は総じて品質が安定せず、時期によってサイズ感が異なったり同じ品番でも色が違ったりと、日本人が求めるTシャツの品質には程遠く、かなりの割合で不良品が出る始末。しかもアメリカのTシャツメーカーは返品交換に応じてくれないなど、文化の違いもあり日本でオリジナルプリントTシャツを作るために「Tシャツ」を安定的に供給するのは困難な状況でした。

中国での縫製工場探しで直面した問題

トムスの生産担当者は、プリント用Tシャツを日本で安定共有するために、中国の縫製工場を片っ端から訪問しました。コピー文化など問題はあるものの、中国の縫製技術はかなり高く多くの日本企業が中国の縫製工場で生産していたからです。しかし、広い中国の縫製工場をたくさん回りましたが、下着を作る縫製工場が多くそもそもの使っている「糸」が違いました。
Tシャツを作るには大きく「糸の種類」と「糸の編み方」で肌触りに差が出てきますので当時売れていたアメリカ製Tシャツの多くは「オープンエンド」という空気の力で糸をねじってつくる工法の糸でした。オープンエンドはコスパに優れたTシャツはつくれますが、独特のザラ感があり肌触りが粗い感じでした。ところが下着を作っている中国の工場が使っていた糸は「リングスパン」という目の細かい肌触りの優しい糸。下着に使用される肌触りのいい糸「リングスパン糸」は機械を使って細かい糸をロープのように編んでいく製造方法のためアメリカ製のオープンエンドよりもコストは高くなりますが、表面はツルッとしていて艶があり何よりも肌触りがいいのが特徴でした。
中国ではオープンエンドの糸を作る機械がなく、リングスパンしかないという状況でプリント用Tシャツを作るというプロジェクトはいきなり大きな問題に直面しました。

偶然できた最高のプリント用Tシャツ

糸がリングスパンしかないという状況の中、それならば肌触りのいいリングスパンでアメリカ製のTシャツのようにタフな厚めのTシャツを作れないかと試行錯誤して誕生したのが「085−CVTヘビーウェイトTシャツ」。
5.6オンスの程よい厚みと分厚い首回りがタフなアメリカ製Tシャツを思わせる風貌ですが、着てみるとサラリと肌触りがよく着心地がいいまさに「理想のプリント用Tシャツ」です。

085-CVTのこだわり

085-CVTの誕生秘話を聞いて興味を持った私は、複数のトムス社員に「085-CVTの特徴・良いところは何ですか?」と質問しました。
これほどまでに長く売れている商品には何か秘密があるに違いないと思い、参考にしたいと思って質問したのですが返ってきた答えは全く予想していない言葉でした。
「安定感ですかね」「ベーシックな所です」「変わらない所です」などなど。
詳しく聞くと、「プリント用TシャツはTシャツ単体として完結するような尖った商品ではなく、お客さまの想いがプリントされて完成するものです。個性を邪魔しないTシャツがいいプリント用Tシャツだと思います。」という答えが返ってきました。
フルカラーインクジェットプリントでもシルクプリントでもインクのノリが良く、オリジナルTシャツを作る時に迷ったらこのTシャツにしておけば間違いないというTシャツです。

オリジナルプリントサービスを提供するSWEAT.jpとしては「お客さまの想いがプリントされて完成する商品」という言葉に重みを感じました。
085-CVTという商品のこだわりは、こだわらないということだったのか…と何だか不思議な気持ちでしたが、お客さまのオリジナルデザインがプリントされたTシャツを見るとわかる気がしてきました。

日本のオリジナルプリント文化を支えるTシャツ

085-CVTヘビーウェイトTシャツがヒットして日本のオリジナルプリントで使われるTシャツはアメリカ製Tシャツよりも日本企業が企画したTシャツの方が多くなりました。
品質の安定・キメの細かい肌触りが日本人の好みに合っていたのかもしれません。色々話を伺って日本でオリジナルプリント文化が今あるのは、トムスさんに限らずボディメーカーさんたちのこういったものづくりの苦労があるからではないかと考えさせられました。
トムス社員の方々、商品取材にご協力いただきましてありがとうございました。

SWEAT.jp 加工生産部

杉山(Sugiyama)

SWEAT.jp歴4年のベテランスタッフ。カスタマーサービス部も経験の上で加工生産部に移動したマルチに活躍するスタッフです。デザインと加工の両方の知識を活かして、よりよい情報をお届けします。 加工の裏側をリサーチするので、更新をお楽しみに!

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